Q 自己紹介をお願いします。
A 白石慶子と申します。
今回は修了作品「かくれん坊」を上映致します。
1985年東京生まれ。
2008年多摩美術大学映像演劇学科卒業。
2010年までアニメーション会社でCGアニメーターとして勤務。
2012年本専攻修了。
修了後は、アニメーション作家・マンガ家としてお仕事をさせて頂く予定です。
また、アニメーション・映像科の講師のお仕事もさせて頂きます。
Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか?
A 「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」の試写会に行きました。
舞踏家ピナ・バウシュ×映画監督ヴィム・ヴェンダースのコラボレーション作品です。また、3D×ドキュメンタリーという新しい映像体験でもあります。舞台という再生不可能なものと、映像という再生可能なものが融合した、革新的作品だと思いました。(ここで言う再生とは、映像の再生、生命の再生という二つの意です。)
Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。
A 本専攻は作家としてインディペンデントアニメーションを制作するところです。しかし作品を制作するにあたり、個人作業だけではなく沢山の方にお世話になりました。アニメーション専攻の教授、助手、先輩、同輩、後輩。音楽環境創造科の音楽・音響担当の方、声担当の方、演奏者の方。これらの方々なしではこのような作品は出来上がらなかったと強く思います。皆様への感謝の気持ちを、一番感慨深い出来事とさせて下さい。
Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次作品「いないいないばあば」は、若返ってゆく(=老いてゆく)ばあばと、育ってゆくこどもの年齢がクロスするという、フィクション性の高いアニメーションです。しかし一年次制作と修了制作の間に東日本大震災が起こり、現実がフィクションを超えてしまった瞬間を体験しました。修了作品「かくれん坊」は、フィクションを超えてしまった現実や実写映像を元に、アニメーションに出来ることで更にその現実を超えられたらと思い制作した作品です。
Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。
A 本作品は、2011年3月11日とその後をモチーフに、「事実の中にかくされた真実を描く」というテーマで制作したものです。映像は視覚と聴覚の媒体ですが、カメラや目、マイクや耳には、視聴できないものが現実に存在するということが、震災以降は特に意識されるようになったと思います。そのとき、実写映像は現実を写すことが出来ますが、アニメーションは実写映像には撮れない現実感を描くことが出来るのではないか、と考え制作しました。
Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 修了制作「かくれん坊」を通して考察した、「アニメーションと実写映像における現実感の考察」という論文です。
・アニメーションは実写映像よりも現実を描くのに不得手であるのか。
という問いから、
・実写はフロッタージュ(転写)であるのに対し、アニメーションはスケッチ(描写)である。
・実写は現実を事実化するのに対し、アニメーションは現実を真実化する。
・実写は現在の記録であるのに対し、アニメーションは過去の記憶・未来の想像である。
・実写は現実を写すのに対し、アニメーションは現実感を描く。
という結論までです。
Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 私めは作品・作家の両方に興味があります。
修了展「TALK」ではメイキング班長として、修了生14人のメイキング・インタビュー映像を制作しました。この映像は「作品を作る行為」=「作家がTALKする行為」ということが垣間観られるのではないかと思い作っています。
よろしければ修了展にてメイキング映像も是非ご覧下さい。
また、白石とTALKしたいことがありましたら、こちらまでご連絡頂けると嬉しいです。
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