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2012/03/04

学生紹介:白石慶子(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 白石慶子と申します。
今回は修了作品「かくれん坊」を上映致します。
1985年東京生まれ。
2008年多摩美術大学映像演劇学科卒業。
2010年までアニメーション会社でCGアニメーターとして勤務。
2012年本専攻修了。
修了後は、アニメーション作家・マンガ家としてお仕事をさせて頂く予定です。
また、アニメーション・映像科の講師のお仕事もさせて頂きます。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」の試写会に行きました。
舞踏家ピナ・バウシュ×映画監督ヴィム・ヴェンダースのコラボレーション作品です。また、3D×ドキュメンタリーという新しい映像体験でもあります。舞台という再生不可能なものと、映像という再生可能なものが融合した、革新的作品だと思いました。(ここで言う再生とは、映像の再生、生命の再生という二つの意です。)


Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 本専攻は作家としてインディペンデントアニメーションを制作するところです。しかし作品を制作するにあたり、個人作業だけではなく沢山の方にお世話になりました。アニメーション専攻の教授、助手、先輩、同輩、後輩。音楽環境創造科の音楽・音響担当の方、声担当の方、演奏者の方。これらの方々なしではこのような作品は出来上がらなかったと強く思います。皆様への感謝の気持ちを、一番感慨深い出来事とさせて下さい。


Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次作品「いないいないばあば」は、若返ってゆく(=老いてゆく)ばあばと、育ってゆくこどもの年齢がクロスするという、フィクション性の高いアニメーションです。しかし一年次制作と修了制作の間に東日本大震災が起こり、現実がフィクションを超えてしまった瞬間を体験しました。修了作品「かくれん坊」は、フィクションを超えてしまった現実や実写映像を元に、アニメーションに出来ることで更にその現実を超えられたらと思い制作した作品です。

Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 本作品は、2011年3月11日とその後をモチーフに、「事実の中にかくされた真実を描く」というテーマで制作したものです。映像は視覚と聴覚の媒体ですが、カメラや目、マイクや耳には、視聴できないものが現実に存在するということが、震災以降は特に意識されるようになったと思います。そのとき、実写映像は現実を写すことが出来ますが、アニメーションは実写映像には撮れない現実感を描くことが出来るのではないか、と考え制作しました。


Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 修了制作「かくれん坊」を通して考察した、「アニメーションと実写映像における現実感の考察」という論文です。
・アニメーションは実写映像よりも現実を描くのに不得手であるのか。
という問いから、
・実写はフロッタージュ(転写)であるのに対し、アニメーションはスケッチ(描写)である。
・実写は現実を事実化するのに対し、アニメーションは現実を真実化する。
・実写は現在の記録であるのに対し、アニメーションは過去の記憶・未来の想像である。
・実写は現実を写すのに対し、アニメーションは現実感を描く。
という結論までです。

Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 私めは作品・作家の両方に興味があります。
修了展「TALK」ではメイキング班長として、修了生14人のメイキング・インタビュー映像を制作しました。この映像は「作品を作る行為」=「作家がTALKする行為」ということが垣間観られるのではないかと思い作っています。
よろしければ修了展にてメイキング映像も是非ご覧下さい。
また、白石とTALKしたいことがありましたら、こちらまでご連絡頂けると嬉しいです。





白石慶子さんの作品「かくれん坊」はプログラム「第三期生修了作品B」にて上映いたします。第三期生修了作品Bプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/03/03

学生紹介:薩摩浩子(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A こんにちは、『夜から来た人たち』を作りました薩摩浩子です。静岡出身です。

Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 『ドラゴン・タトゥーの女』を見ました。暗くて長いサスペンスものを劇場で見るのが好きなので楽しめました。

Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 撮影スタジオが怖かったこと。




Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次では『雪山のライチョウ』という作品を紙に作画するスタイルで制作しました。
修了作品ではコマドリといって、一枚撮影してモノを動かしてまた撮影することの繰り返しの手法で制作しています。
コマドリは何度かやった事があったのですが、切り紙素材を使ったのは、初めての挑戦でした。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 思いためていたアイディアを実現させたかったからです。実写の撮影など、学校の設備や機材なしでは出来ない事をたくさん実現できました。

Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 『映像における夜の表現についての考察』

Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 作ったものは誰かが見てくれることで存在価値が生まれると思っています。
誰かが見て何か思ったときに「TALK」する。私にとって「TALK」は作品を作る力です。





薩摩浩子さんの作品「夜から来た人たち」はプログラム「第三期生修了作品A」にて上映いたします。第三期生修了作品Aプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/03/02

学生紹介:山北麻由子(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 山北麻由子です。1986年愛知県生まれ。
2007年頃から手描き、クレイ、ピクシレーションなどのアニメーション制作を始めました。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 上野の藝大卒制を見に行ったんですが、日本画がどれも凄かったです。
1枚の大きい絵を一年通して描いている本気さと、迫力がありました。


Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 韓国へ行って韓国芸術総合学校の学生と一緒に制作をした事です。
真冬だったので外は-10℃でしたが、向こうの方々は皆暖かかったです。
言葉もあまり伝わりづらい中で共同制作をするという貴重な経験をしました。

Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次作品では、苦悶や幻覚など感覚的な事をアニメーションで表現しました。
修了制作では兄弟の関係をテーマに、楽しめる作品を作るように心がけました。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 自分が会場で、お客さんが楽しんでいる様子を見たくて作りました。
あとは、姿形が変わっても悲観する必要はないといういう提案です。

Q 修士論文のテーマを教えてください。
A アニメーションで感覚を表現する事、笑いを表現する事などです。


Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 個人的な考えですが、TALKで難なく自己の考えを伝えられて話上手な人って
作品を作る際にも論理的に思考して瞬発的に面白い事を考える人のような気がしています。
自身どちらもまだまだなので、そうなりたいなと願っている所存です。
なので、お気軽にお声掛け下さい。





山北麻由子さんの作品「トマトコンフィ」はプログラム「第三期生修了作品A」にて上映いたします。第三期生修了作品Aプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/03/01

学生紹介:髙田苑実(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 髙田苑実です。この学校に来る前は、ファインアートを勉強したり、身体表現や写真コラージュの平面作品などを作っていました。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 映画では『なみのおと』(監督:濱口竜介、酒井耕)。本学映画専攻を出た監督の震災ドキュメンタリーの作品です。姉妹や夫婦の対話の中で、故郷や家族に対する想いが言葉になっていくのが見えました。本では、太田光の『文明の子』。


Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 伊藤有壱先生の初めての授業で、相原信洋さんの作品を紹介されて、アニメーションはパペットやクレイなどだけではなく、どんなものでも、空でも地球でも、アニメイトする対象になりえるという話をされていたが印象的でした。


Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次では、草を使ったストップモーションアニメーションを作りましたが、修了制作でも自然物を使うにあたって、どういうつもりで自然物を使い、なにを表現するべきかをより慎重に考えました。特に、大震災のあったあとの自然に、どんな距離感で向き合うべきか考えていました。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 今作品の制作プロセスは、不安定な世界で日々生きる中で、私の自問自答と小さな実験の繰り返しがその期間のほとんどでした。完成された作品は、現時点での私の回答です。抽象的な表現ですが、今回の大震災のケースに限らず、だれしも自分と世界の関係に不安があるときがあるとおもいます。それでもその世界で生きていくときに、それぞれのひとたちがもつ世界の受け入れ方を考えるきっかけになれればいいと思っています。


Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 「リアリティとはなにか」という哲学的命題を軸に、作品制作プロセスで実践されたこと、また、その他の表現者たちのコンセプトを例にとり、考察しました。

Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A イメージとしては、作家はメディアで、「作ること」は、メディアを通したことがらを集束することで、完成された作品について「TALK」されることは、新たなことがらを生み、分散して広がっていくかんじです。





髙田苑実さんの作品「The surface of the earth」はプログラム「第三期生修了作品B」にて上映いたします。第三期生修了作品Bプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/02/29

学生紹介:飯田千里(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 「Look at Me!」を制作した飯田千里(いいだせんり)と申します。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A ちょっと前になりますが『ふしぎなふしぎな子どもの物語 なぜ成長を描かなくなったのか?』(ひこ・田中  2011)を読みました。児童文学は、アニメーション制作へ飛び込む前に興味のあった分野なのですが、今読むと、アニメーションの汎用性について、もっともっと真剣に考えなければならないなと感じました。


Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 「最近は、イベントが盛んだが、発表内容の充実よりも人を集めるプロセス自体に主眼が置かれているようだ。」という意味の発言を、一年次のゼミで先生がされていたのを聞き、メディアの変化について考え始めました。他方「頑張って考えた事は、実は所詮その程度の事柄ともいえる。無意識に出てくるものこそ(自分にとって)重要な事柄」という言葉もあり、両方印象に残っています。

Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次では自分なりのアニメーション技法のルール作りを、修了制作では、そのルールを踏まえた、文章書き、原則の崩しなどに挑戦しました。 基本的にはペンで一枚一枚書き、コンピューター上で彩色し、タイミングをギリギリまで調整する絵柄も方法もシンプルなものです。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 本作は当初一年次制作として企画されましたが、その時は自分自身が制作動機を整理できなかった為、二年目に持ち越されたものです。結局それは自分の立ち位置、つまり個人制作のアニメーションにおける周辺環境の変化やメディアの変化を見ていて感じた、移ろいゆくものへの哀惜の念でした。その一方で時代を超えても変わらない、時に無邪気で残酷な他者を欲する愛(あるいは哀)の力に魅かれ「映像を見て(いる間)対話するように楽しめる作品」にしたいという思いから制作しました。
考えてみればごくごく基本的なことですが、あまりにも複雑になってしまった映像の見方に対して、ポンと素直になりたい(と思い作りましたが如何でしょうか?)という自分なりのメッセージなのかもしれません。

Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 上記のような事柄をアニメーションの持つ、抽象性に着目して論じました。


Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 私は、作品を「作ること」を通してしか「TALK」はできないと考えています。
さらに映像作品である場合、 上映中にしか「TALK」はできないのではないかと考えています。上映後の解釈や感想以上に、上映中の反応や、口にあげずとも各人に残る一瞬の印象に「TALK」の価値を見出したいです。いずれにしても「TALK」するには「作り」続けるしかないのでしょう。





飯田千里さんの作品「Look at Me!」はプログラム「第三期生修了作品B」にて上映いたします。第三期生修了作品Bプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/02/28

学生紹介:胡嫄嫄(コ・ユェンユェン)(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 胡ゆぇんゆぇんです。中国南京から来ました留学生です。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 映画「Burdshard Revisited」と「プライドと偏見」を見直しました。やはり素敵すぎます!

Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A プレゼンはいつもドキドキハラハラです。


Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 一年次作品「Spots Spots」は物語ではなく、作画や執着を衝動的にぶつけました。
修了作品は物語を大切にして表現しました。視覚的なものは変わらず描きたい様に描きました。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 自分が物語性のアニメーションをどう構築して、どのようなものになるのか。そして、丁度描きたい物語に遭遇したので、本作品を制作しました。


Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 「アニメーションにおける画風と物語についての考察」です。

Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 人と話すことで、いろいろな話題や思いつきがあり、そこからたくさんの物語が生まれると思うので、作品を作る上で「TALK」はかかせないです。




胡嫄嫄さんの作品「夕化粧」はプログラム「第三期生修了作品 B」にて上映いたします。第三期生修了作品 Bプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/02/27

学生紹介:宋永盛(ソン・ヨンソン)(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 僕は、2005年韓国から日本に渡ってきて、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を4年間通い、卒業後、この学科に入学し、今に至ります。一年生のときに『PART BLUE』を制作して、修了制作としては『QQQ』を完成しました。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A ルーシー・リーの工芸作品、スーパーマリオ3Dランド、『珈琲時光』やイオセリアーニのフィルムなど。

Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A 一年生の入学式の日にみんなと始めて出会ったことや二年生の先輩が歓迎会をしてくれたこと。

Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 二つの作品とも「リズムを描く」という一貫したテーマで作られました。ただそのテーマとの距離の計り方に違いあるように思います。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 卒業するために作ったのが、制作動機です。「ものを作りたい」の方よりも優先されています。

Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 「リズムを描く」。



Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 二つの言葉には共通点があるかどうかは分からないのですが、今回の修了展のテーマである「TALK」にしたことの主旨としては、現在の自分たちの位置を考えると、作り手として表に出て、鑑賞者たちとも触れ合うことも大事ではないだろうかが出発点だったように思います。また、作品について語ることが必須かどうかもはっきりはわからないですが、今の僕たちには必要なことだと思います。




宋永盛さんの作品「QQQ」はプログラム「第三期生修了作品 A」にて上映いたします。第三期生修了作品Aプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。

2012/02/26

学生紹介:ALIMO(修了生)

Q 自己紹介をお願いします。
A 大学院生活も終盤だから言いたいこと言ってやろうと思ってる、ALIMOです。


Q 最近アニメーション以外でどのような作品と出会いましたか? 
A 映画「The singing Revolution」、これはエストニアのドキュメンタリー映画です。感動して泣きました。エストニア人の生き方がとにかくかっこいい!あとは、作家研究でヴァレリアン・ボロズウィックを扱っているので、彼の映画を観てます。強烈です。ブニュエルやボロズウィックをると、僕の作品はまだまだウンチだなって思います。



Q 大学院で一番印象に残っている出来事や言葉などあれば教えて下さい。 
A みんなの笑顔。あとは、音楽のパートナーに恵まれたこと。これは本当に大きかった。一年次の時もそうですが、修了制作の時も多くの人が力を貸してくれました。いくら監督である僕が多少イメージを伝えたとはいえ、彼女達の力があったからこそだと、完成した作品を見て改めて思います。良い出会いがあったと感じています。



Q 一年次作品と修了作品との相違点や挑戦したことなど教えて下さい。
A 素材、技法、コンセプトすべて今までとは違うアプローチを試みたので、新しい武器を手に入れたという感覚はあります。でもこの手法はかなりしんどいので、もっと試行錯誤しないといけません。そして、別バージョンを作ってみたいです。例えばもっとシンプルな遊び、もっと複雑な遊びを。こうして別バージョンのイメージが湧くのも、自分のなかでは新しい感覚ですね。


Q 本作品をなぜ作ったのでしょう?メッセージなどを聞かせて下さい。 
A 観てすぐに面白いと感じるものは、それほど新しいことはやっていないと思います。新しいものとはすぐには受け入れられないもの、何なのかよく分からない要素があるものです。そうなると、自分でもよく分からないものを作るしかない。僕はこの作品が面白いのかどうか途中から判断できなくなりました。それは作品に自信がないという感覚とは少し違うものなんです。だから少なくとも僕の中では新しい、ということになる。
 この作品はエンターテイメントの要素は少ないです。きちんと見て理解するためには、ある程度の知識が必要です。例えば20世紀絵画史やシュルレアリスムについてです。それを話さないと「なぜ作ったのか」という質問には適切に答えることは出来ないでしょう。TVしか知らず美術館に行かないような絵画史を知らない人が観ると単調という印象を持たれ兼ねない。僕の母はそのような人です。でもそれはその人の人生なので。その人生に僕の作品は縁がなかったというだけのことです。僕はそれでかまいません。僕はただ、意味のあるもの、残るものをなんとか作っていきたいんです。
僕は母に作品を見せます。それで母は僕に気を使ってこう言うと思うんです。
「よく分かんないけど、、、綺麗だね」って。
なんだそれっ!!でも観てくれてありがと。



Q 修士論文のテーマを教えてください。
A 題目は「《反・動き》のイメージ考察」です。内容はシュルレアリスムとアニメーションという観点から、イメージとオブジェのやりとりについてとか、描く行為とかについて書いています。



Q 修了展のテーマが「TALK」ですが、あなたにとって「TALK」と「作ること」との繋がりについて教えて下さい。
A 僕の中で「作品」の定義は、メッセージがあることです。ただ楽しいものとか、作りたいから作った、というものは作品に値しないという考えを持っています。それらは作品ではなく一人言のようなものであったり、商品です。言ってみれば消耗品ですね。楽しくてもメッセージや作る意味がないとダメなんじゃないでしょうか。作品に意味がないってことは、その作家の存在意義もないってことです。
 作品にはそのなかにTALKの要素があります。作品ではないオママゴトの場合は、そのものを使ってTALKをしないといけない。この違いだと感じています。そもそも、ここ数年アニメーション界に大した未来を感じない状況が続いていませんか。こういう状況の中で作品を出しても残念なことになるだけでしょう。ホロヴィッツの言葉を僕なりに置き換えて使えば、日本中のアニメーション作家は僅かに三種類しかいない。コンペティション中毒者と消耗品専門の三番煎じと過保護でホームパーティ好きの保守派




ALIMOさんの作品「開かれた遊び、忘れる眼」はプログラム「第三期生修了作品 A」にて上映いたします。第三期生修了作品Aプログラムは、横浜会場3/9から3/11、東京会場3/17から3/23に上映いたします。